インプラント

むし歯や歯周病などで歯を喪失したあとに、チタン製の支柱を顎の骨に埋め込み、それを土台として歯を修復する治療をデンタルインプラント治療といい、使用されるチタン製の支柱をデンタルインプラントといいます。
インプラント治療(ここではデンタルインプラント治療をそう呼びます)は、従来の取り外し式の義歯やブリッジと比較して、機能的、審美的に優れていること、周囲の歯を削ったりする必要がないことなどの利点が挙げられます。
最新(2014年)の統計では、日本でも30歳以上の成人において、30人に1人が治療をうけている一般的な歯科治療法となっています。
切らないインプラント、「フラップレスインプラント」

通常のインプラント手術では、歯肉を切開(フラップ)し、ドリルで骨に穴を開けてインプラントを埋め込みます。
フラップレスは、歯肉や骨に直接小さな穴を開けてインプラントを埋める治療なので、口腔内のダメージが最小限ですみます。(※ただし顎の幅が約7mm以上の場合に適応となります)
手術時には、患者さんの口の形に合わせて正確に作成されたガイドに従ってインプラントを埋入しますので、通常のインプラント手術に比べて大幅に手術時間を短縮することが可能となり、患者さんへの負担が少なくてすみます。
歯肉を切開する必要がないため、本数が多いインプラント手術には特に効果的な方法です。
歯科用CTによる精密診断

CTとは、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography)の略称で、コンピュータ処理により撮影データを3次元の立体画像として構築することで、骨の状態などを正確・高精度に診断できる装置のことをいいます。
従来のレントゲン画像は、2次元の平面画像でしか歯や顎の骨の様子を見ることが出来ませんでしたが、歯科用CTを用いることで、3次元の立体画像として情報を得ることが出来るため、歯や顎の骨の状態はもちろんのこと、神経や血管の位置なども詳細に把握するできるようになります。
当医院では、インプラント治療の他、親知らずの抜歯や歯周病治療、根管治療、歯根の破折の診断などにも用いています。
歯と顎の骨の形状、神経や血管の位置を正しく把握することでより確実に、そして安全性を高めることができます。
ガイドサージェリー

デジタルで正確で負担の少ないインプラントを
このインプラント治療にも、当院のデジタル技術が大活躍します。
口腔内スキャナーを用い、「ガイドサージェリー」と呼ばれる方法でインプラント治療をいたします。
ガイドサージェリーは、スキャンした画像データを元に、患者さんの顎の骨の模型を作り、インプラントを埋め込むための「ガイド」を作成する手法です。
スキャナーで正確に測定された患者さんの歯や顎の形から作られるガイドは、誤差0.何ミリとう精度の高さです。このガイドを用いることで、「フラップレス」という歯茎を切らない手術が可能となります。
3Dプリンターで模型を作製

口腔内3Dスキャナーで口の中をスキャンしたデータから、院内の3Dプリンターで、患者さんの歯と顎の模型ができ上がります。
インプラントの土台を入れてみて、患者さんの本当の口の中とほぼ同じ状態を再現しています。
ガイドを作製

模型を元に、その上に被せる「ガイド」を作ったところです。上にのっている半透明のものがガイドです。
インプラントを埋め込むための穴が空いており、このガイドを実際に患者さんの歯の上にかぶせて、正確な位置にドリルで穴を開けることができます。このガイドにより、歯肉を切開する必要がなくなり、患者さんの負担は大きく軽減されました。
インプラントネジとセラミッククラウン

左側が土台に埋め込むインプラントネジ。
右の「歯」がセラミックのクラウンです。
クラウンに空いている穴は装着したあとに埋められて、表面はスムーズになります。
徹底した感染対策

インプラント治療が失敗してしまう原因の一つに、「インプラント感染症」が挙げられます。
インプラント感染症の原因としては、インプラント手術後のケア不足や患者様の身体の免疫力の低下など、患者様ご自身の問題によるものもありますが、インプラント手術中の歯科医院の衛生管理が不十分であるために引き起こされるものもあります。
衛星管理が不十分な器具や材料を使用していたり、空気中にほこりや細菌が舞っている状態でインプラント手術を行ってしまうと、インプラント感染症の原因となるのです。
当院ではそのような歯科医院での感染を防ぐため、清潔な外科専用手術室も完備し、使用する器具、空気全てにおいて衛生管理を徹底するとともに、術中や術後の適正な薬の投与により、感染症によるインプラントの脱落等を予防しています。
恐怖心が強い方へ。静脈鎮静法でリラックスした治療

治療に対して不安や恐怖を感じる方も多いかと思います。そのような患者さまのために、当院では「静脈鎮静法」をご提案しています。
専任の麻酔専門医が静脈に鎮静剤を投与することで、患者さまをリラックスした状態に導きます。
治療中は眠っているような感覚で、ほとんど痛みを感じることなく、また治療の過程を覚えていないことが多いため、安心して手術を受けていただけます。
静脈鎮静法の最大のメリットは、治療への不安が大幅に軽減され、リラックスした状態で治療が進むことです。
「歯科治療が怖い」「痛みが心配」という気持ちを和らげ、より快適に治療を受けられる環境を整えています。
治療後もリラックスした状態が続くため、帰宅後に不安や疲れを感じることなく、日常生活に戻ることができます。
どんな小さな不安でもお気軽にご相談いただけるよう、スタッフ一同、親身にサポートいたします。
難症例や骨が少なく他医院で断られたケースにも、可能な限り対応

インプラント手術・治療のためには骨の量が必要となります。患者様によっては該当部分の骨がない・薄いといった理由で他の歯科医院でインプラントを断られるケースもございます。
当院ではそうした難症例の患者様でもインプラント手術を行うための「骨造成(自分の骨・あるいは人工的な骨補填材を充てんし骨を再生させる手術)」も対応可能です。
GBR法
主に下あごの骨の高さや幅が足りない場合に用いられるテクニックです。
具体的には、骨が不足している部分を「バリアメンブレン」とよばれる膜で覆って骨を作るスペースを確保し、その中に、骨のもとになる素材を詰めて、骨の再生を促していきます。
術式としては、主にインプラントの埋入と同時に行う方法と、インプラント埋入前に行う方法の2種類があります。
インプラントの埋入と同時に行う方法の方が患者さまの負担は少なくて済むのですが、骨の量が大幅に足りない場合には適応ができないため、その場合はGBR法により増骨手術を行ってから4~8ヶ月間骨が再生するのを待ち、再生後に改めてインプラント埋入手術を行う方法を取ります。

サイナスリフト
サイナスリフトとは、上あごの歯槽骨の薄い部分の上顎洞底部に、骨の移植をしたり、再生療法などで骨造成を誘導する治療法です。
サイナスリフトは、骨造成が多くできる事と、目で確認しながら手術できるというメリットがありますが、反面、手術の難易度が高い事、骨が出来るまでに6ヶ月~1年かかるため、患者様の精神的、肉体的な負担が大きい事というデメリットもあります。
その為、骨を多く再生する必要がある場合(歯槽骨の高さが5ミリ未満の場合)にサイナスリフトを使い、歯槽骨の高さが4ミリ以上ある場合は、次で紹介するソケットリフトを用いることが一般的です。

ソケットリフト
ソケットリフトもサイナスリフトと同じように、上あごの歯槽骨の薄い部分の上顎洞底部に骨を作る治療法ですが、サイナスリフトが歯が生えていた部分の側面の歯ぐきからアプローチするのに対し、ソケットリフトは歯の生えていた部分、もしくは歯を抜いた時に出来た穴からアプローチすると言ったその手法の違いがあります。
この手法を採用すると、骨の移植と同時にインプラントを入れることが出来るため、サナスリフトよりも短期間で治療を終えることができます。
ただし、骨を作れる範囲が限られるという事、治療を受けられる人が限られるというデメリットもあります。

インプラント治療例のご紹介